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不安の種を解決する42

いよいよ人生本気で楽しもうじゃないか。そして、くぅおんは今日も行く

あやかしの野夜露消ゆる時無く

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にわかに真相を増す老人の話

「あすこのウタキ(Uダキ)はUFOに乗って神様が降りてくるんだよ。」

私の表情などお構いなしにご老人は続けた。

「そして周りの小さいウガンジュをパトール(パトロール、と言っているつもりらしい)するわけさ。だけど、あんたのおじいがウガンジュなくすもんだから神様が怒って大変だったわけ」

うちの祖父のせいで、このご老人はしばらく困っていたのだそうだ。詳細を書くと一部の方には、この老人が誰だかわかってしまうかもしれないのでこれ以上書くのは控えるが、ご老人のいうことがいよいよ怪しくなってきたので、失礼かとは思ったが適当に挨拶してそそくさとその場を切り上げた。

帰宅してから、どうせ祖父に聞いてみたところでは答えてくれないと思い、UダキのUFOと畑にあったという拝所について祖母に訊ねてみた。

誰がそんなことを言ったのか、というのでその老人の話をすると、あの人は若いときからちょっと頭がおかしいから真面目に話を聞くことは無い、ということだった。

なんだ、ボケ老人の戯言か、とこれ以上聞くまでもないと思ったが

「大きいおばぁ(祖母にとっては姑)もたまに変な(同じような)ことを言っておじい(私の曽祖父)をよく怒らせていたよ」

とつぶやいたものだから引けなくなってしまった。

あの老人がいうのはあながち妄言ではないかもしれない。もしや、うちの祖父と曽祖父を記憶違いしているのではないか。気になりだしたら止まらない性分だ。祖父の帰りを待ちきれず、話を聞くために祖父のいる畑に向かった。

途中、近所に住む従兄弟に会う。今夜集まる親戚の子供連中で肝試しをするからお前もこい、という。

この親戚とうのは、私の叔母の嫁ぎ先の方の親戚でこの界隈では大地主の一門。親戚の人数も半端ない。今年は全国に散らばっている親戚も集まるというので、子供の数だけでも20人は超える。

その中に特に中のいい兄貴分おり、すでに従兄弟の家に到着しているというので、また会える喜びですっかり舞い上がり畑には向かわず従兄弟の家へ向かった。

 

闇夜のかくれんぼ

月が昇り、叔父たちは飲み始め、叔母達は台所を占拠しておしゃべりが始まっている。旧盆のご馳走を頂いたあと、居場所が無くなった子供達が闇夜に散らばった。

斯くして『缶蹴りかくれんぼ肝試し』。

従兄弟の家を中心に北側、100m圏内。畑がほとんどであまり民家はなく、目立つのは2つのウガンジュと一件の廃屋、一件の空き家が含まれていた。

『かくれんぼ』つまり、隠れることそのものが肝試しとなる。

家の中に隠れるのは禁止。当然空き家も含める。いくら空き家でもこれでは空き巣になってしまう。

場所から場所の移動はOKで、30分以内に発見されなければ勝ち逃げ。

誰かが缶を蹴ったら振り出し再スタート。パートナーのどちらが蹴ればよく、片方がみつかってももう一人が缶を蹴れば成功。みつからず逃げ切った組は、二回戦は鬼から外される特典?付きとなる。

確かそんなルールだった。そして、すでに三回戦となったいた。

最初に見つかってしまった組は、後から二つのウガンジュと一件の廃屋、空き家から印を取ってこなければ罰金。従兄弟達がまだ日が暮れないうちにその印を仕込んであったらしい。よくもまぁ、考えたものだ。

二人か三人一組に分かれて、8組が隠れ3組が鬼になる。当初は親戚のみだったが、近所に住む先輩や後輩達も数人含めスタートした。

じゃんけんに勝った私は隠れる側。買っても負けても怖い。これがこのかくれんぼの本髄。

パートナーは三つ年下の従兄弟。「なんだよ、お前かよ」とませがきの従兄弟はがっかりした様子だった。どうやら後から合流した近所の可愛い同級生と組みたかったらしい。

私達が隠れたのは空家の倉庫。何故ここにしたかは、覚えていない。ここに決めたのは従兄弟で、何か理由があったはずなんだが・・・

5分ほどして、数を数え終わった鬼がライトの明かりをゆらゆらさせながら近づいてきた。

「来た、来た♪」怖くないのか従兄弟は楽しそうだ。辺りは真っ暗なので明かりを持っているとはいえ、きっと怖いに違いない。

「ちょっと驚かせよう」そういって、適当に摑んだ石を鬼役が通る草むらに向かって投げた。

ガサガサガサッ

落ちた石が音鳴らす。鬼役がびっくりしてそこを照らす。それを見た従兄弟がくくくっと笑った。

しかし、鬼役も馬鹿じゃない。

「おい。明かりを消せ。こっちも脅かせてやろう」

という話し声が聞こえ、フッと目の前から明かりが消えた。

しん、と静まり返る辺り。暗くて確認しようもないが、相手もじっと様子を伺っているのか物音一つしない。

「移動しようぜ」用でも足したくなったか。急に従兄弟の落ち着きがなくなった。

「馬鹿!今動いたら見つかるかもしれないだろ!」

時間切れになるまでじっとしていれば、こんな不気味なところまで探さないだろう。そういったのだが、従兄弟は聞かず飛び出していった。

「みっ〜っけ!」

少し離れたところから声が聞こえた。見つかったのは従兄弟だ。

「あとは任せたからな〜 助けにこいよ〜」

そういって、従兄弟は鬼と共に去っていった。

再び辺りが静まり返る。

つづく