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不安の種を解決する42

いよいよ人生本気で楽しもうじゃないか。そして、くぅおんは今日も行く

常闇にさし入りたる月の色、妖しきかな

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真夏の夜の悪夢、再び

これって非常にまずい状況じゃないか?

本当に“出たら”どうしよう?

降参した方がいいだろうか?

でも、今みつかって一組目だったら結局印を取りにいかなければならないし。

そんなことが高速で頭を駆け巡っていた。

しばらくして、再び明かりがゆらゆらと近づいてきた。別の鬼役だろうか?話し声は聞こえない。

今度こそみつかる!いや、もうむしろ、みつかりたい!そう願ったのだが、倉庫の前にきてふっと明かりが消えた。

(あれ?)

たしかに気配はするが物音がしない。

すると今度はいよいよゆっくりと倉庫のドアが開いた。誰もいない。風で開いただけか?

私はたまらなくなって、倉庫を飛び出して門のある方へ向かった。

(よし。ならばこのまま缶を蹴りに・・・)

思い切って飛び出そうとしたとき、切れた蜘蛛の糸のようなものがキラキラと月明かりにきらめきながら近寄ってきた。そして、ふわっと私の頬をなぜるように通り過ぎた。

「痛っ!」

突然、刃物で切りつけられたような痛みが顔中に広がった。

そして次の瞬間、再び昨年の悪夢が顕れた。一気に蘇る記憶。血の気が引いていくのがわかった。

今度は一体ではない。闇の中からわらわらと顕れ、そこかしこに立ちはだかる。影の一つは、高さ一メートルの庭木のてっぺんに真っ直ぐに立っていた。

 

闇にそびえる闇より深き影

その姿は、人のようであって人ではない。

頭と首にはくびれがなく境がわからない。手は長く地面に届きそうなほどだ。そして、その手先はアイスピックのように鋭く闇夜に光っていた。

この姿、見覚えがある。

何処かで・・・

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あの晩、私は缶蹴りの場所に戻らず自宅へ戻った。

いつまでも戻らない私を心配して従兄弟達が来ていたそうだが、私は既に床についていたので帰したと後から祖母に聞いた。

翌朝、ぐったりと起きて洗面所の鏡をみると顔中にうっすらとではあるが、ひっかいたような切り傷が無数に出来ていた。傷は顔だけではなく、気がつくと背や首、体中の至る所に出来ていた。特にふくらはぎの傷は酷く、ぱっくりと割れていた。

「マズムヌ(化け物)に触られたわけさ」

傷をみながら唖然としている私をみて、鏡越しに祖父がぽつりと言った。そして、ゆっくりと煙草に火をつけ、ふぅ〜と私の頭に煙を吹きかけた。

それから静かにUダキのある丘をみて『何か』を呟いた。

祖父のおかげか、傷は嘘のように引いたが、結局そのとき祖父が呟いた言葉は未だにわからない。方言のようで呪文のようでもある、そんな感じだった。

学校帰り、あの老人の話を思い出していた。

もしかして“あれが老人の言う宇宙人”だったのだろうか?それとも祖父が言うようにただのお化けか。しかし、その祖父もまたUダキを見上げていた。無関係というわけでもなさそうだ。

あの夜以来、その“黒いやつら”と出くわしたことはない。しかし、大人になった今でも、この季節になると私の額にはうっすらと切り傷がつく。その度にあの夜の出来事を思い出さずにはいられない。

お前をみている

まるでそう言われているかのように。

 

 

旧盆恐怖特集2016まとめ読み

 

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